1.3.細胞の老化とがん化に関与するするテロメラーゼ活性の制御

染色体末端に存在するテロメアの長さは、細胞寿命を決定します。その長さは、テロメラーゼと
呼ばれる酵素によって調節されています。実際に、
80%以上のがん細胞で、テロメラーゼの活性
が検出されます。

このテロメラーゼ活性を調節することができれば、がんなどの疾患に対する治療薬の開発や、がん細胞の検出に非常に有用な知見となります。そこで、テロメラーゼの基質となるテロメアDNAの構造と熱力学的安定性を制御することで、テロメラーゼの活性を調節することを試みました。その結果、分子クラウディングを用いてテロメラーゼ活性を抑制したり、向上させたりすることができまました。詳しくはこちらをクリック4

さらに、四重らせん構造に特異的に結合する化合物を見出しました。この化合物の興味深い特性として、二重らせん構造とは全く結合しない点があります。この特性を利用して、細胞核内のように二重らせん構造が過剰にある環境下においても、この化合物は、四重らせん構造を形成するテロメアDNAに特異的に結合し、さらにテロメラーゼの活性を抑制することが分かりした。今後は、このような知見を利用して、細胞内におけるテロメラーゼ阻害を検討することや、テロメラーゼ活性の検出方法の開発に取り組む予定です。

Biomolecular Design Lab.

分子設計化学研究室